「妊婦さんは、猫を飼ってはいけない。」
どこかで聞いた事のある様な無い様な?
それから、猫のフンはとても怖い病気にかかる可能性がある。
だから触ってはいけない、と言うのも聞いた事ありますね。
実は、私も母から言われてました。
私の場合は、猫を飼ってはいなかったので問題はなかったのですが、飼っている方はどうなんでしょう?
可愛いい家族の一員である猫ちゃんを手放すなんてありえないですよね。
猫を飼っている方は、是非読んでみてください。
目次
妊婦は猫に触っちゃダメ?
「妊婦さんは猫に触っちゃダメ」と言われている事についてですが、猫に触ってすぐにどうこうなると言う事ではありません。
例えば、友人のお宅の猫に触れたら病気になった!!という類いではありません。
では、どうしてその様な話が出てくるのでしょうか?
それは、トキソプラズマ症という猫が感染しやすい病気に由来します。
因みに、健康な成人であれば、トキソプラズマ症にかかったとしても、軽い風邪の様な症状で済むことがほとんどです。
(体に抵抗力のない人が感染すると、重篤な病気に発展する可能性もあります)
しかし、妊婦さんが感染すると、胎児が先天性の病気になる危険性があるのです。
とても怖いですね。
トキソプラズマとは?
では、トキソプラズマ症とは?どんな病気なのでしょうか?
トキソプラズマ症とは、トキソプラズマという原生虫による感染症です。
トキソプラズマとは、幅3μm(マイクロメートル)、長さ5~7μmの原虫です。
トキソプラズマにより起こされる感染症をトキソプラズマ症と言い、世界的に見ると全人口の1/3が感染しているとされています。
(※国立感染研究所調べ)
一度感染すると、免疫が出来るため、再度感染することはありません。
健康な人が感染した場合、風邪のような症状が数日続くことはありますが、ほとんど症状が出ることはありません。
しかし、HIV感染者などの免疫不全の人が感染すると、重篤な症状を引き起こすことがあります。
また、妊娠中に感染した時に胎児に起こる「先天性トキソプラズマ症」は、
- 死産や自然流産
- 生後に精神遅滞
- 視力障害
- 脳性麻痺
- 髄膜炎
など重篤な症状が出ることがある、とても恐ろしい病気です。
このトキソプラズマという原生虫は、人間を含む哺乳類に寄生しますが、ネコ科の動物は特に、このトキソプラズマの原生虫にとって、居心地が良いのです。
トキソプラズマの感染経路
では、トキソプラズマの人への感染ルートはどうなっているのでしょうか?
トキソプラズマの感染経路は主に「経口感染」と、妊娠中の「母子感染」です。
トキソプラズマは、哺乳類や鳥類に寄生しながら成長し、繁殖の際はネコ科の動物に寄生します。
そのため、生ハムなどの非加熱食肉や加熱の不十分な食肉、猫の糞、トキソプラズマが寄生している土に触れることで、感染する可能性があります。
特に、豚の生肉は危険です。
豚肉を生で食べることはないと思いますが、加熱が不十分にならないよう、しっかりと加熱して食べましょう。
肉がまだ赤い場合は生焼けですので、ひっくり返したり広げたりして生焼け部分を作らないように気をつけて。
なぜ妊婦は猫に注意する必要があるの?
トキソプラズマは、基本的に経口感染です。
トキソプラズマに感染している猫の糞には、「オーシスト」という人に感染するトキソプラズマの卵がふくまれています。
その卵が万が一口に入ってしまったら・・・
赤ちゃんへの感染を防ぐため、猫に接する時は注意してくださいね。
妊婦は猫にどう接すればいいの?
まず初めに。
全ての猫が危険なわけではありません。
注意が必要なのは「トキソプラズマに感染して2週間以内の猫」です。
糞にオーシストを紛れ込ますことが出来るのは、感染から2週間程だけなので、感染から2週間以上経過した猫は、トキソプラズマをまき散らしたりはしないのです。
下記を注意することで、飼い猫の感染と妊娠中の感染を予防することが出来るんですよ!
- 外に出さないようにし、他の動物との接触をさける
- 猫用トイレの掃除は、出来る限り家族にお願いする
- 猫の糞に触れた時は、しっかりと手を洗う
- 餌として生肉を与えない
妊娠中、猫に触れたあとは手を洗おう
猫のトイレ掃除の際は、手袋と手洗いの徹底を上記でもお伝えしていますが、トキソプラズマに感染している猫の糞には「オーシスト」と呼ばれる卵が含まれていることがあります。
トキソプラズマは、人の細胞よりも小さいので、もちろん人の目には見えないですよね。
万が一、妊娠中に口に入ってしまっては大変です!!
猫のトイレを掃除する際は、手袋の着用と手洗いを徹底してくださいね。
そして、掃除を終えたら、手を洗いましょう。
できるなら、ご家族に猫用トイレの掃除はお願いしましょう。
妊娠中にトキソプラズマに感染したら、どう治療する?
血液検査(任意)で、トキソプラズマの抗体が見つかった場合、「アセチルスピラマイシン」という抗生物質を摂取することで、母子感染を予防することが出来ます。
妊娠中に感染が分かっても、慌てずにお医者さんと相談してくださいね!
すでに猫を飼っている場合は?
トキソプラズマについて色々分かったところで、猫をすでに飼っていた場合はどうしたら良いのでしょうか?
以下に猫の飼い方をまとめてみましたので、参考にしてみてください。
● 猫のフンを素手で絶対に触らない事
(ビニール手袋などを使用したり、極力家族に頼みましょう。)
● 猫の餌は、キャットフードにする事
(生肉等を与えるとトキソプラズマに感染する可能性があります。)
● 猫を外に出さずに完全に室内飼いにする事
(外に出る事により、トキソプラズマに感染している他の猫との接触を防いだり、
ネズミなど衛生上に問題のある物を食べさせないためです。)
上記の事を守れば、トキソプラズマの感染を防ぎやすくなります。
なぜか、猫がトキソプラズマに感染しやすい動物ですので、犬はそれほど心配しなくても良いと言われています。
妊娠中は犬も危険?他の動物でもトキソプラズマに感染する?
人に感染するトキソプラズマの卵、「オーシスト」を糞から排出するのは、ネコ科の動物だけです。
犬など、他の動物にも寄生することはありますが、オーシストが排出されることはないのです。
なので、他の動物からトキソプラズマに感染することはないんですよ!
猫の糞尿はその日のうちに処分しよう
排出されたばかりの猫の糞に寄生するトキソプラズマの虫体は、未熟なため感染力を持っていません。
猫が排便してから、24~72時間で感染力を持つため、24時間以内に片付ければ感染を防ぐことが出来ます。
猫のトイレを、1日に1~2回必ず片付けるようにすると安心ですよ。
また、間接的な感染を防ぐため、糞を入れた袋の口はしっかりと閉じてくださいね!
妊娠中の初感染は要注意。
過去に感染しているかどうか、妊婦健診の血液検査で確認を
妊娠中の初感染は、胎児に重篤な症状が出る可能性があるため注意が必要です。
抗体検査を受けることで、感染経験があるかを調べることが出来ます。
感染経験がない場合、出産まで感染しないよう、注意が必要です。
感染経験がある場合、感染時期を調べる検査をし、おおよその時期を特定させます。
過去の感染であれば問題はありませんが、妊娠中の感染の場合、赤ちゃんへの感染を防ぐための治療が必要となります。
一般的な妊娠中の血液検査では、トキソプラズマの感染についての検査項目はないので、実費となりますが、赤ちゃんの健康のために是非検査をお勧めします!
予防薬もある?
今のところ、予防接種のように、事前に摂取することでトキソプラズマを予防できる薬はありません。
色々と研究はされているようですが、人への効果・摂取が認められた薬はないのです。
なので、妊娠中は日ごろから感染のリスクを減らすために
- 生肉を避ける
- 猫の糞に触れない
- 土に触れない
- 手洗いの徹底
など、予防をして下さいね。
まとめ
- 妊娠中にトキソプラズマ症に感染すると胎児が先天性の病気になる等、リスクが大きい。
- 猫は飼っても良いが、飼い方に注意する事。
- 猫は触っても良いが、フンは触らない事。
可愛いペットと一緒にいる事ができるように、色々と工夫してみてくださいね。
そして、獣医さんや産婦人科医に相談して一番良い方法を考えてみてくださいね。