「母乳は、赤ちゃんの成長とともに栄養が無くなる」というお話を、聞いたことありませんか?
また反対に、「母乳は白い血液で、栄養は無くならない」と言うお話を、聞いたことありませんか?
全く正反対の内容で戸惑ってしまいますよね?
実際は、お母さんの血液から作られる母乳の栄養が無くなってしまう事はないんです。
今回は、赤ちゃんの成長とともに変化していく、母乳の成分についてお話しますね。
目次
母乳の成分の変化
母乳は、
- 「初乳」
- 「移行乳」
- 「成乳」
と、3つに分かれます。
出産後、赤ちゃんの成長に合わせて変化していくのです。
どのように変化するのか、順番に見ていきましょう。
1. 初乳
初乳とは、産後5日程の間分泌される、母乳の事をします。
初乳は黄色味がつよく、ドロっとしています。
初乳には、生後間もない赤ちゃんが、健康に元気に成長するために必要な、栄養と免疫物質がたっぷり含まれています。
また、初乳には赤ちゃんの胎便の排出を助け、新生児黄疸を防ぐ効果があります。
2. 移行乳
移行乳とは、成乳に変化する産後2週間頃までの母乳の事を指します。
移行乳は、初乳に比べ黄色味が薄く、さらりとしてきます。
また、免疫成分や、たんぱく質の量が減り、脂肪と糖分が増えます。
3. 成乳
成乳は、ずっと同じ栄養成分ではなく、赤ちゃんの成長に合わせ常に変化しています。
移行乳よりもとてもサラサラしていて、色も薄いですが、赤ちゃんの発育に必要な栄養成分が全て含まれています。
乳糖や糖分、ビタミン、ミネラル、水分、脂肪分など、赤ちゃんのニーズに合わせて常に変化しているのです。
母乳はいつまで?
赤ちゃんが成長していくと、母乳も栄養が無くなると耳にすることがありますが、そんなことはありません。
母乳は、お母さんの食事から摂った栄養を元に、血液を介して作られる、いわば「白い血液」です。
産後1年経っても、どんな粉ミルクにも負けない栄養や免疫成分が、たくさん含まれているのです。
そのため、現在ではWHOも2歳以上まで母乳をあげることを推奨しています。
ただ、栄養たっぷりとは言っても、赤ちゃんの身体が大きくなるにつれて、母乳だけでは補えない栄養が出てきてしまいます。
そのため、離乳食を始め、食事から栄養をとる練習をするのです。
また母乳は、赤ちゃんに栄養だけでなく、愛情を一緒に伝えます。
赤ちゃんとお母さんの心をつなぎ、赤ちゃんがリラックスできる時間でもあるのです。
毎日何回も授乳をしていると、ゆっくり眠ることが出来ず、大変なお母さんもいますよね。
でも、母乳をあげられるのは子供が成長する中で、ほんの数年の今しかない時間です。
周りの人々や粉ミルクなどに頼りながらでも全然構いません。
大切な赤ちゃんの心と身体の成長のために、赤ちゃんが満足するまで続けてくださいね。
赤ちゃんの年齢で断乳をするのではなく、赤ちゃんが成長し自然と卒乳するまで、母乳育児を楽しんでくださいね。
母乳で不足しやすい栄養素は?
母乳は産後1年を過ぎても栄養満点!!とは言っても、赤ちゃんが成長すると、母乳だけでは補いきれない栄養素が出てきてしまいます。
赤ちゃんの活動量が増え、エネルギーも不足してしまうんです。
そのため、母乳で補いきれない栄養やカロリーを、離乳食でカバーします。
母乳がメイン、離乳食が捕食のイメージですね。
では、具体的に足りなくなりやすい栄養素はどんなものがあるのでしょうか。
足りなくなりやすい栄養素を知って、お母さんの食生活や、離乳食作りに役立ててもらえたら嬉しいです。
1. 鉄分
特に不足しやすいのが、鉄分です。
赤ちゃんはお腹の中にいる間に、お母さんからもらった鉄分を体内に貯めていきます。
ですが、赤ちゃんの成長とともに、鉄分貯金も減っていき、6ヶ月頃には足りなくなってきてしまうのです。
鉄分は、健康な血液を作るために必要な栄養素で、貧血予防・疲労回復・骨や歯を丈夫にするなどの効果が期待できます。
2. ビタミンA
ビタミンAには強力な抗酸化作用があり、身体の健康維持と眼精疲労に効果が期待できます。
ビタミンAが不足すると、免疫力も落ちてしまうので、積極的に取り入れてくださいね。
3. 亜鉛
酵素の活性化や健康な皮膚や粘膜の維持、味覚を正常に保つ働きがあります。
亜鉛が不足すると、低体重や低身長、免疫力の低下、味覚障害、情緒不安定の原因になってしまいます。
食事だけで補うのが難しい時は、サプリメントなども上手に活用してみてくださいね。
まとめ
- 母乳は「初乳」「移行乳」「成乳」の3つに分かれる。
- 「成乳」は、赤ちゃんの成長に合わせて常に成分が変化する。
- 母乳は、栄養や免疫成分が無くなることのない、赤ちゃんの満点ご飯。
- 離乳食は、母乳で不足しがちな栄養を摂るための、捕食
- 鉄分、ビタミンA、亜鉛は積極的に摂取を!
あとがき
私の周りには、子供の体調が悪くなり食事や水分を摂れなくなった時でも、母乳だけは飲んでくれたケースが多いです。
そのせいか、体調が悪いながらも、脱水を起こさないで済んだ赤ちゃんもいます。
他の食事は嫌でも、お母さんのおっぱいだけは安心するんですよね。
長く母乳をあげていると、色もどんどん薄くなるし、周りからも「まだ飲んでいるの?」と言われプレッシャーを感じてしまう事もあるかもしれません。
でも、赤ちゃんの心と身体の成長には、大切な母乳なんです。
周りのプレッシャーなんて気にせずに、是非大手を振って母乳育児を楽しんでくださいね!